今では、なかなか食卓で見ることのなくなってしまった「ずいき」。
そもそも「ずいき」とは、
トウノイモ、ヤツガシラなど赤茎系のサトイモの葉柄のこと。
その中でも、今回取り上げる「軟白ずいき」は、
トウノイモの葉柄をあえて遮光することで、白くやわらかく仕上げたものをいう。
戦前から奈良県のごく一部でつくられ、
おもに京都の高級料亭向けに出荷されていたので
市場に出回ることのない幻の食材と言われていたが、
生産者の数は高齢化とともに減少、一時は生産が途絶えたとされていた。
ならば、それを蘇らせようとたったひとり、
奈良市の西狭川町でつくり始めた農家がいる。
彼こそ、今回特集する木本芳樹さんだ。
幻の「軟白ずいき」を復活させるべく、わずかな情報と地元の人の知恵を頼りに、
絶滅品種の命をつなぎ奮闘する姿を追う。
ー 『奈良食べる通信』とは? ー
「食べる通信」とは、食べものを作り続ける生産者をクローズアップし、彼らの想いやストーリーを特集した冊子と、彼らが一生懸命育てる地域のおいしいものがセットになって、自宅に届きます。単なる情報誌でもなく、食材の通販でもない、新しいスタイルの体感マガジンです。2013年に東北から始まったこの新たな情報誌が、今全国へと広がっています。分断された生産者と消費者、この両者をつなげたい。それが「食べる通信」の目指すゴールです。 つくった人の顔が見えたとき、つくった人の想いに触れたとき、つくった人のものを食べたとき、私たちはきっと感動する この言葉を体感してほしい。読んで、知って、作って、食べる。私たちは、もう一歩先の出会いも作りたい。そのために、「奈良食べる通信」は独自のコンセプトを作りました。それが「食でめぐる奈良」。食べたら終わりではなくて、そこからがスタートです。生産者の農場を見にきてください。知られざる奈良の魅力を発見してください。どんなに関心があっても、いきなり生産者を訪ねることは、勇気がいります。でも、誌面で知っている、あるいはSNSでつながっている生産者なら、実際に会いに行くことは難しくありません。いわば、「奈良食べる通信」は、生産者とつながるためのパスポートなのです。