【11月号】選ばれた林檎を味わう

「てきか」という言葉を知っているだろうか。柑橘を育てるうえで欠かせない作業工程の一つだが、「てきか」には「摘花」「摘果」という漢字違いの二つの言葉がある。「摘花」は花の段階で不要な花を除くこと、「摘果」はまだ青い果実の段階で不要な果実を除くことだ。白根りんご園に5月に訪れた時は「摘花」、7月に訪れた時は「摘果」の時期だった。
摘花作業を少しお手伝いさせていただいたが、1本の木に無数に咲く花を最適な状態まで除くのは気が遠くなる作業に感じた。本来であれば花が咲く前の蕾の段階で摘む方が栄養を余分に消化されずにすむのだが、作業が追いつかず、花びらが散った後に摘まざる得ない木もあるそうだ。
次に訪れた摘果作業で驚いたのが、畑を絨毯のように覆う青い実の多さ。摘花作業であれだけの花を摘んだにもかかわらず、さらにこれだけ多くの実を摘むとは想像できなかった。摘花作業同様、摘果作業ももちろん1本ずつ手作業だ。
今回、摘花作業と摘果作業を見たことで強く感じたのは、私たちが口にする林檎は「選ばれた林檎」なんだなということ。店頭に並んだ林檎を買う時、どうしても見た目が良い林檎を選んでしまうと思う。しかし店頭で並んでいる時点で「てきか」をクリアした林檎なのだ。そう考えるとどれも輝いて見える。
「剪定(枝を切ること)、摘花、摘果が農家の腕の見せ所」という柑橘農家の親父の言葉を思い出した。白根さんご夫婦が「選んだ林檎」と会える11月号、ご期待ください。

 

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