【参加者レポート】
第7回松嶋啓介×東北食べる通信コラボ料理教室


一流フレンチシェフ・松嶋啓介さんと、東北食べる通信がコラボしてほぼ毎月開催している「料理教室&ランチコース」。第7回は、1月14日に「ホタテ」をメイン食材として開催しました。

今回、参加者で東北食べる通信の読者でもある高木健太さんにレポートを寄稿していただきました。高木さんは、「うちの味」を映像とレシピでつなぐサービス「レシピバトン」を運営していらっしゃいます。

 

【第7回松嶋啓介×東北食べる通信コラボ料理教室レポート!※サプライズあり】

「食という字は人をよくする。人をよくする事と書いて食事」
「食べることは、生きること」

互いの理念で共鳴しあう松嶋啓介シェフと東北食べる通信 高橋博之編集長。この二人がタッグを組んだ贅沢すぎる料理教室も、本日でついに7回目。

毎回季節ごとに食材を変え、今回はホタテ。青森は蟹田の漁師、高森優さんが爆弾低気圧来襲の中、命がけでお送りくださったもの。そして今日の料理は「ホタテの茶わん蒸し」。

なんでフレンチのシェフが?と思うなかれ。この料理教室のよいところは、常に“家庭で作りやすい料理”に重きが置かれているからです。

松嶋シェフはこう言います。
「料理を作ることがストレスになってはいけないんです」
だから簡単で美味しく家庭で再現できる方法を、いつも丁寧に教えてくださいます。

「家庭で料理を作ることで、ほっとできるのがいい。それが息抜きになるような。すると、それが誰かの“生き抜く”力になるんです」

今回も、工程は簡単に。でも、必ず抑えるべきポイントと、その理由、その背景にある歴史などまで、気さくな口調でいろいろと。

<レシピ>

・ ホタテはヒモの下をめがけ、ヘラを入れ、貝を開ける。
・ 黒い部分(ウロ)を抑え、スプーンで貝柱以外をこそぐ。
・ ヒモとオレンジ色の生殖器は水と塩で汚れとヌメりを落とし、鍋に入れる。
・ 水をホタテ2個分に対し100ccほど入れ、弱火で出汁を炊く。
※ ポコポコいうくらいで、沸騰させないのがコツ!
・ とろみが少し出てきたらアクを取り冷まし、出汁250ccに卵3個、醤油20g、味醂5g、を入れて混ぜる。
・ 器に移し、湯を張ったバットに入れ160℃のオーブンに12〜15分くらい入れ完成!(家庭のオーブンによる。強火だとスが入る)
※ 直接でなく、間接的に熱を入れるのがポイント。弱火で下ゆでした野菜などを入れてもよい。
・ キッチンペーパーで水気をとった貝柱を薄くスライスして載せて完成!

「出汁とる間はやることないからいっぱい喋んなきゃ」

鍋に時々目をやりながら、松嶋シェフの料理哲学はとどまるところをしりません。

「うま味を大切にし、理解し、リスペクトすることで、コミュニティは保たれ、世界も平和になる」

「うまい!」の語源でもある「うま味」。我々日本人はその概念を生み出した民族であり、それを誇りに思うべきだと。世界を舞台に活躍する松嶋さんならではの、2020年の先まで見据えた言葉のように感じられました。

味には、アッパー系とダウナー系があり、アッパー系は、塩、砂糖、油で、ダウナー系はうま味。アッパー系はハイになるけれど、ダウナーは、それこそ「ホッと」できるものであると。

うま味を紐解くと、面白いことがみえてくるのです。
「地域に残る保存食には、すべてうま味が入っているんです。発酵、乾燥などさせたうま味成分いっぱいの保存食を、だから神棚に捧げるんです。うま味をベースに、コミュニティは作られてきた。伝統の中心には、必ずうま味がある」。

日本だけではありません。世界中、ナンプラーやしょっつるのような調味料も、オリーブオイルも、シャルキュトリも、トマトも、ごまペーストも、すべてその国のルーツを知る手掛かりであり、元をたどればお母さんの母乳という、うま味に至る…。

そんな感じに、ここでは紹介しきれないほどの、料理から広がる果てしないうまい話の数々。

ただ、料理の手順を教わるだけではない。なぜこの料理があって、世界ではこうで、つまるところ人間は…という話を聞くことができ、味わうことができる。それがこのイベントの醍醐味なのです。

「3つ覚えて帰ってくださいね。こういうホタテのようなものからでも出汁がとれること。人の成長と一緒、味が変化してゆく過程を楽しむこと。そうしてとったうま味でホッとする味がつくれること。ホッとする味があったら、家に帰りたくなるでしょう?人間も歪まないでしょう?」

「料理を覚えることは、人間関係の作り方を学ぶことに通ずるんです」

あっっという間に、1時間のデモンストレーションが終了です。
(僕は密かにこの料理教室は、松嶋シェフのトークショーだと思っています)

続いては部屋を移しての、贅沢なランチタイムへ。

高橋編集長が熱く代弁してくださる生産者さんの物語を聞き、そのバトンを受け取ったシェフの想いまで、一気通貫で味わえる。そんな魔法がかかった一皿をいただける、他ではありえないコラボレーションがテーブルに並んでゆきます。

「レストランなので、また来て欲しいと思ってもらいたいから、ちょっとアッパー系の味も入れました」。キッチンから松嶋シェフもちょくちょく顔を出してくださいます。

1品目はデモンストレーションで作ったホタテの茶わん蒸しに生の貝柱。その上にジャガイモのエスプーマとなんとブラックダイヤモンドこと黒トリュフ…!一同大興奮、沈黙にスプーンの音のみ響いたのち「うま〜」という幸せそうなため息で満たされる部屋。茶わん蒸しの概念は瓦解、素材とうま味のレクチャーを受けた後だったので、なおさらうま味が沁みました。

その後も(写真参照)、

・ ホタテのカルパッチョ、カリフラワーとクミンのソース
・ シェフの地元福岡産・真鯛の冷製ブイヤベース ウイキョウのシャーベット
・ オリーブとレモンの皮の風味の若鶏のローストとポロネギのリゾット
・ トリュフのアイスクリームとモンブラン
・ パッションフルーツのゼリーとブラウニー…

思い出すだけで腹は鳴り、よだれまで垂れてきます。(こんな時間に写真のアップごめんなさい!)それぞれに、スパークリングワイン、白ワイン、赤ワイン、食後にはコーヒーまでついた、それは豊かなランチは、気がつけば、いつの間にか2時間が経っていました。

すると…!

なんと来週1/21から公開される映画「0円キッチン」の“食材救出人”ことダーヴィド監督がキッチンから登場。なんというサプライズ!

取材と公演で多忙を極める中、わずかな空いた時間で松嶋シェフのお店にランチにいらっしゃったそうです。「0円キッチンでやっていることは、日本のmottainaiの思想なんです」。笑顔で0円キッチンの取り組みや日本に来られた喜びを語ってくださった監督は、鯛の骨や頭を余すことなく使った松嶋シェフのお食事を楽しまれたようでした。

かくして第7回松嶋啓介×東北食べる通信コラボ料理教室はお開きに。

終始、同じ食べる通信の購読者同士でのお話や、出身地の話などで初対面同士の参加者も盛り上がる、それこそ松嶋シェフ、高橋編集長、両人が大切にされている「誰と食べるかが大事」な時間を体現したような空間に、お腹も心も満たされました。
松嶋シェフ、高森さん、ごちそうさまでした!

前述の通り、生産者さんと、シェフ、二つ側面からの物語を聞いて、魔法がかかったお料理を同時にいただける場は他にないと思います。

ぜひ、いままで食べる通信でいただいてきた食材がどう変化するのか?熱烈なファンの読者様こそ、ご参加をお勧めいたします。

※ちなみに、前回は牡蠣の食べ比べで、シェフは地中海風サルサソースの生牡蠣と、牡蠣の和風リゾットを作ってくださいました。毎回それくらい豪華です!

毎回どんどん満員御礼!が早くなりつつある中、こうやってお勧めしてしまうと、さらに競争が激化しそうなのでほんとうはあまり教えたくないのですが(笑)

ご参加できなかった方にもイベントの素晴らしさを少しでも共有できれば幸いと思い、アップさせていただきました。

ぜひ、次回8回目の開催を一緒に楽しみに待ちましょう!生産者さんに感謝をし、息抜きできる料理で生き抜きながら…。

以上、拙い長文にお付き合いいただき、まことにありがとうございました。

たまたま隣の席になった高橋編集長よりイベントレポートを拝命しました関係で、レシピバトンの高木がお送りしました。