アナログを愛する果樹農家


アナログ農家

ネットの時代たけなわですが、山形県上山市にアナログを愛する果樹農家がいます。野本悟さん(43)の農園は、さくらんぼの最盛期を迎えていて、昨日は日曜日ということもあり、奥さんだけじゃなく、高校生の娘さんも直売所になってる農園の店頭に立っていました。趣味のモトクロスもお預け状態で、目が回る忙しさのようでした。

ここは販売の方法が素敵過ぎるんです。野本流販売術っていう本を書けそうなくらい、理想的な売り方をしています。さくらんぼ、ブドウ、ラフランス、桃を通年で生産しているのですが、ネット販売は一切なし。アナログスタイルの個人売りで完売しています(一部業者に卸している)。リピーターが多いのも特徴。

基本ツールは、ハガキです。名簿にあるお客さんに往復ハガキを出すだけ。そして、これがミソなんですが、A4のペラ一枚表裏に直筆の手紙を家族フル参加で書いてるんです。奥さんは息子さんが無事に小学校を卒業した話を、息子さんはお父さんの生産現場での苦労を書いた作文を、おばあちゃんは小屋の前に現れた3匹にタヌキについて、悟さんは佐藤錦のめしべの凍結壊死について、それぞれ直筆で書いてあり、写真は子どもたち3人とおばちゃんが玄関の前で立っている一枚があるだけの構成。

この果樹農園だよりを始めたら、クレームがほとんどなくなったそうです。顔が見えるって、こういうことなんだなぁと改めて思いました。直売所の壁には、お客さんからのお礼の直筆の手紙が何枚か貼ってありました。親しい友人家族の近況を知るような思いで箱をあけると真っ先に果樹農園だよりを読んでいます、というような内容でした。中には農園まで直接足を運んでくれるお客さんもいるようで、「こんなに娘さん大きくなったの」という話をしてくれるのがうれしいんだそうです。

たぶんマーケティングとか専門的に勉強なんかしてないと思うんですが、素晴らしいマーケティングをやっている家族だなぁと感心しきりでした。

編集長 高橋