損得ではなく、忠義に尽くす会津人の魂


egawa

ここは会津の山奥。雪の山道をしばらく長靴でテクテク歩き、突如、目の前に姿を現した広大な農地。ここは去年まで耕作放棄地でした。それを、ここまで開墾した江川正道さん(29)兄弟、お父さんに昨日から話をずっと聞いてきました。損得ではなく、忠義に尽くす会津人の魂は、今もなお死んでいないと感じました。聞いていて、何度も心が揺さぶられました。

彼らはなぜ、こうして見捨てられたあちこちの耕作放棄地を引き取り、農地に再生し、農業を復活させているのか。「日本の未来の食、地域の食文化を守るために、誰かがやらなければならないこと。誰もやらないなら自分たちがやるしかない」。すべての日本人に伝えたいドラマですが、東北食べる通信4月号で読者のみなさまにしかお伝えできないのが残念です。

江川家族が耕作放棄地を再生した畑で育てた旬のアスパラと共にお届けする東北食べる通信4月号は、ただいま申し込み受付中です(4月8日正午まで。以降は5月号よりお届け)。ぜひ、彼らの思いに触れた上でアスパラを食し、江川家族に「ごちそうさま」を伝えていただければと思います。誰かがやってくれるだろう、俺には関係ない、では、日本の食の未来は守ることができません。

にしても、江川さんのお父さんとも話しましたが、今の日本はやっぱりおかしい。命をつなぐ食べものをつくる、子どもの面倒をみる、親(年寄り)の世話をする。人間にとって最も大事な営みを他人に委ね、対価として貨幣を払って済ませ、私たちは暮らしています。今、その農家、保育士、介護士が収入が少なくて、若い人がやろうとしません。

そうして、人間が生きていく上で必ずしも必要不可欠とは言えない贅沢品をつくって生きている人たちが左団扇で生きている。世の中、ひっくり返ってると思います。自分たちでやれないのであれば、せめて、その生きていくために必要不可欠なことを代わりにやってくれている人たちが報われる世の中にせねばと改めて強く思いました。

東北食べる通信編集長 高橋博之