岩手県遠野市宮守町 / 神様と暮らす山人たちの現代版遠野物語


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みなさんは、神様を信じますか?東北食べる通信3月号で特集する岩手県遠野市宮守町の湧水集落には、ほぼ全員、神様を信じて暮らしている山の民たちがいます。そして、この集落では、人間は死んでも死にません。死者は生者と共に生き続けています。民族学者の柳田國男が、地域で古くから口承される神々、妖怪などの話を綴った遠野物語の世界が、今なお、ここには存在しているのです。

全国紙記者として日本各地を渡り歩き、定年間近に湧水集落に移住して8年の木瀬公二さんは言います。

「人類が月にロケットを飛ばす時代になったというのに、どういうわけか、ここには河童や座敷童などを心から信じている人たちがいる。自分も67年生きてきたが、合理的・化学的には説明つかない世界がこの世にはある、ということだけはよくわかった」。

最新号では、東北食べる通信読者でもある木瀬さんに、この現代に残る遠野物語の世界を寄稿していただきました。以下、ほんの一部分をご紹介します。

『正作さんは、夜間作業用のライトを持ってきて馬を照らした。そしてまたロープで体を起こし、皮膚を傷めないようにと体の下にワラを敷いた。私の女房は古い毛布を取りに戻り、それを体にかけた。そのとき、暗闇の中で、ヒサさんの家の方から「ドン」と大きな音がした。女房は不安げに「何?」と聞いた。ヒサさんは「馬の魂が抜けて、家にぶつかった音だ」と言った。馬は翌朝、死んだ。メス馬の魂は台所にぶつかり、オスは玄関付近にぶつかるんだ、とヒサさんが教えてくれた。』

この他、最新号では生物学者の福岡伸一先生と東北食べる通信編集長の私の対談も掲載されています。

各家庭では未だに蛇口をひねると沢水が出てくるという、水道いらずの湧水集落。キレイな沢水がないと生育できない山葵(わさび)を丸ごと一本、育ての親である福地孝一さん、嘉之さん親子の物語と共にお届けします。どうぞお楽しみに。

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東北食べる通信編集長 高橋博之